工業用X線CTとは?医療用CTとの違いと外部依頼のメリット
高精度な産業用CT装置を自社で保有していなくても、CTスキャン受託測定サービスを利用することで、試作評価や不具合解析など必要なタイミングで製品開発へ取り入れることができます。
この記事では、医療用CTとの違い、外部依頼のメリット、費用の考え方、依頼前に準備したい情報を紹介します。

1. 医療用CTと工業用X線CTは何が違う?
どちらもX線を利用して内部の断層画像を作成しますが、撮影する対象や目的が異なるため、装置の構造や撮影条件にも違いがあります。
「CT」と聞くと、病院で使用される医療用CTを思い浮かべる方が多いかもしれません。
医療用CTと工業用CTは、複数方向からX線を照射し、取得した画像をコンピュータで処理して内部の断層情報を作成するという基本的な仕組みは共通しています。
大きく異なるのは、「何を撮影し、何を確認するためのCTなのか」という点です。
医療用CT
医療用CTは、人体の内部を撮影して病気やけがの診断に使用する装置です。
人体への放射線被ばくを抑えながら、体の動きによる影響を少なくするため、比較的短時間で広い範囲を撮影することが求められます。
一般的には患者を固定し、その周囲をX線管と検出器が回転して撮影します。
工業用・産業用CT
一方、工業用X線CTは、樹脂部品、金属部品、成形品、組立品などの工業製品を検査・測定するための設備です。
一般的な産業用CTでは、X線源と検出器の間に対象物を配置し、対象物を回転させながら複数方向から撮影します。
人体とは異なり、対象物の材質や大きさ、確認したい箇所に合わせて撮影条件を調整できるため、内部構造の詳細確認や寸法測定、形状解析などに活用できます。
工業用X線CTでは、
- 非破壊検査
- 内部構造の観察
- 内部寸法測定
- CADデータとの比較
- 空洞・壁厚解析
- リバースエンジニアリング
など、製品開発・品質評価・不具合解析を目的としたCT測定ができます。
医療用CTが「人体を診断するためのCT」であるのに対し、工業用X線CTは、「製品を調べ、測定し、その結果を設計や品質改善へ活かすためのCT」と考えると分かりやすいでしょう。

2. 工業用X線CTを外部依頼するメリット
CTスキャン受託測定サービスを利用すれば、CT装置を自社で導入せず、試作評価や不具合解析など必要なタイミングで測定・解析を利用できます。
産業用CTを利用する方法には、大きく分けて「自社でCT装置を保有する方法」と「外部のCT受託測定サービスを利用する方法」があります。
工業用X線CTは高精度な測定設備であり、導入には装置本体だけでなく、設置環境や保守、撮影条件の設定、解析ソフトウェア、測定・解析の知識なども必要になります。
スポットでの利用であれば、CTスキャンを外部依頼することも有効な選択肢です。
例えば、次のような場面に活用できます。
- 試作品の内部構造や組立状態の確認
- 不具合品の原因調査
- 金型修正前や量産移行前の形状確認
- 図面のない既存部品の3Dデータ化
また、撮影だけでなく、寸法測定やCAD比較などの解析まで相談できる点もメリットです。「何を確認したいか」を伝えることで、目的に合った測定方法を検討しやすくなります。
対象物や目的によって適した解析方法は異なるため、「何を確認したいのか」とあわせてご相談ください。
3. CTスキャンの費用は何で決まる?
費用は、対象物のサイズ・材質・厚み・個数、必要な精度、解析内容、納品形式などによって変わります。
同じ大きさの製品でも、材質や確認したい内容によって撮影条件が異なるため、基本的には個別見積となります。
「内部の空洞を確認したい」「CADと実物の差を調べたい」など、測定の目的まで伝えると、見積や方法の検討がスムーズです。
4. CT測定を依頼するときに準備しておきたい情報
対象物の基本情報と「CTで何を確認したいのか」を整理しておくと、撮影可否や適した測定・解析方法を判断しやすくなります。
① 対象物のサイズ・重量・個数
幅・奥行き・高さなど、大まかな外形寸法と重量、測定したい個数を確認します。
CT装置には測定可能範囲や最大ワーク重量があるため、まず設備に収まるサイズかどうかを確認します。
② 材質・厚み
樹脂、ゴム、シリコーン、アルミ、スチールなど、対象物の材質を確認します。
X線の透過しやすさは材質や厚みによって異なるため、撮影可否や撮影条件を検討するための重要な情報です。
③ 単品か組立品か
複数の部品・材質で構成されている場合には、その組み合わせも伝えます。
特に金属と樹脂など、X線の透過しやすさが異なる材料が混在している場合には、撮影条件の検討が必要です。
④ CT撮影で確認したい内容
依頼時に最も重要な情報です。
例えば、
- 内部の空洞を確認したい
- 部品の嵌合状態を確認したい
- 内部寸法を測定したい
- CADデータと比較したい
- 不具合原因を調べたい
- STLデータを取得したい
など、目的を具体的に整理します。
「不具合がある」という情報だけでなく、どの部分に、どのような症状が発生しているのかまで分かると、確認方法を検討しやすくなります。
⑤ 図面・製品写真・3D CADデータ
確認したい位置が分かる図面や製品写真があると、撮影範囲を検討しやすくなります。
また、CTデータと設計形状を比較する場合には、STEP、IGES、STLなどの3Dデータを準備しておくことで、その後のCAD比較へスムーズにつなげられます。

CTスキャンを外部依頼して製品開発に取り入れる
工業用X線CTは、自社で設備を保有していなくても、必要なタイミングで外部の受託測定サービスを利用することで製品開発へ取り入れられます。
試作品の完成時、不具合発生時、金型修正前、設計検証時など、「実際にできた製品の内部や形状を確認してから、次の判断へ進みたい」という場面でCTスキャンを利用できます。
クロスエフェクトでは、Carl Zeiss製の工業用X線CT 「METROTOM 800 130kV」を使用したCTスキャン・測定サービスを行っています。
内部非破壊検査だけでなく、内部寸法測定、CAD比較、偏差カラーマップ、STLデータ出力、リバースエンジニアリングなど、目的に応じた測定・解析に対応しています。
「CTで撮影できる製品か分からない」
「不具合を調べたいが、どの解析が必要なのか分からない」
といった場合も、対象物のサイズ・材質・形状と、確認したい内容をご相談ください。
CTを撮影すること自体を目的にするのではなく、「何を知り、その結果を設計や製品改善にどう活かすのか」を明確にすることが、CTを有効に活用するポイントです。
FAQ|工業用X線CTの外部依頼についてよくある質問
Q1. 組立品や複数の材質が使われている製品でもCT撮影できますか?
A. 対象物のサイズや材質、厚み、構造によって異なりますが、組立品や複数の材質で構成された製品でも撮影できる場合があります。
ただし、金属と樹脂などX線の透過しやすさが大きく異なる材料が組み合わされている場合は、撮影条件の調整が必要です。事前に材質構成や確認したい箇所をご共有いただくことで、撮影可否や適した測定方法を検討しやすくなります。
Q2. 工業用CTは自社に設備がなくても利用できますか?
A. はい。CTスキャン受託測定サービスを利用すれば、自社でCT設備を保有していなくても、必要なタイミングで測定できます。
試作品1点の評価や不具合解析など、スポットでの利用にも適しています。
Q3. CTスキャンは1点からでも依頼できますか?
A. はい。試作品1点や不具合品1点など、少量のCT測定にも対応できます。
「今回の試作品だけ内部を確認したい」「不具合が発生した1点だけ調査したい」といったスポットでの利用も可能です。必要なタイミングだけCT受託測定を利用できるため、自社でCT設備を保有していない場合にも製品開発へ取り入れやすい方法です。
Q4. CTスキャンではどのようなデータを受け取れますか?
A. 依頼内容によって異なりますが、CT画像だけでなく、STLデータ、寸法測定結果、CAD比較結果、偏差カラーマップなど、目的に応じたデータ・解析結果を取得できます。
必要なデータ形式がある場合は、依頼時に確認しておくとスムーズです。
Q5. CT測定を依頼するときに何を準備すればよいですか?
A. 対象物のサイズ、重量、材質、単品・組立品の別、確認したい箇所、不具合内容などをご準備ください。
図面、製品写真、3D CADデータがある場合は、あわせて共有いただくことで、撮影条件や解析方法を検討しやすくなります。
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